さまざまな餌の捕らえ方をする蜘蛛の仲間

平成18年6月1日第53話

三重クモ談話会 橋本理市

  蜂にしろトンボにしろ、餌となる動物を捕らえる方法は、大体がパターンが決まっていて単純なものですが、こと蜘蛛ということになると、驚くほど多様です。
  まず、一般的なものとしては、網をはり、その網にかかった昆虫類をくるぐる巻きにするものがあり、また、ハエトリグモ、ハナグモやコモリグモのように、獲物を追っかけたり、待ち伏せしたりして、飛びかって捕らえる方式もあります。しかし、意外とおもわれるような珍しい捕食方法をとっている種類がたくさんありますが、それはあまり知られていません。それを少し紹介してみましょう。

オオヒメグモ;屋内でも普通に見られる地味な蜘蛛で、不規則な網をはっているものですが、この蜘蛛は、昆虫を「釣る」のです。不規則な網から下におろした糸の末端に粘り気のある糸をおろし、その糸にふれた昆虫に粘球がくっつき、糸が縮んで上に引っ張りあげられます。

オナガグモ;林の樹間などに一本の糸をはり、見ただけでは松葉が引っかかっているように見えます。この蜘蛛は夜間活動性で、「蜘蛛を食べる蜘蛛」であり、また「投げ縄で獲物をとらえる」蜘蛛です。張り渡した糸を伝ってこちらへくる別の種類の蜘蛛を待ち伏せ、第4脚の間に張り渡した粘球を相手に投げかけて絡みつかせ、身動きできなくなったところを襲います。ヤリグモもまた同様の方法で獲物をとらえます。

トリノフンダマシ;昼間は葉の影に隠れていて、夜になると活動を始める蜘蛛で、非常に粘り気の強い糸を粗い網状に樹間に張り渡します。夜飛び回る昆虫類がその糸に触れてくっつくと糸が切れますが、それを吊り上げるようにして捕らえ捕食します。

 

  このほかに、住居(隠れ家)から、糸を四方八方へ張りわたして、そこを通過する昆虫の振動を住まいの中で感じ取り、瞬間的に跳びだして襲いかかって捕らえるミヤグモやヒラタグモ、またジグモのように糸で作った管状のものを木の根元から数センチ出し、中で待ち伏せをして、昆虫の気配を感じたらすぐにその網状の管のなかから噛みついて捕らえるというものもあります。さらに管状の住まいに蓋状のものを作り、夜間に蓋をわずかに開けて中から様子を伺って、住居のそばをとおりかかる昆虫に襲い掛かり、巣の中に引っ張り込んでとらえるトタテグモの仲間があります。

  これらの種類は夜間活動型のものが多いので、懐中電灯を持って観察に出かければ、まだ知られていない珍しい世界を発見することができるかもしれません。

オオヒメグモ
オオヒメグモ 

オナガグモ

オナガグモ

ヤリグモ
ヤリグモ

アカイロトリノフンダマシ

アカイロトリノフンダマシ

(写真提供は塩崎哲哉氏)