第3回:環境経営部門環境経営優秀賞
学校法人北里学園北里大学病院
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病院長 藤井 清孝 様 |
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受賞者メッセージ
21世紀は環境の世紀といわれるように、環境保護と経済発展の両立の観点から、循環型社会の構築に向けて取り組むべきであるとの声が高まり、それらは排出事業者の責務とされている。これからは事業活動していくうえで、人の健康の保持はもちろん、あらゆる面から環境への配慮が必要と考える。環境に配慮した医療活動は、良質な医療サービスの基本的な機能である。特に患者さん、医療従事者、地域住民等の健康を損なわないようにしていく必要がある。医療関係廃棄物は、医療活動に伴って発生するものである。その対応には、すべての医療従事者が、組織をあげて医療活動に見合う環境整備を目指し、医療活動とともに循環型社会の形成に参与していく、そのような認識を高めていかなければならない。良い環境作りには、際限がない、境界線が引き難いという側面がある。その特性から、組織全体が理念を共有することが前提になる。北里大学病院では、すべての医療従事者が地球環境問題に対する関心を高め、環境への配慮をしていくという努力を重ねている。そのような意識改革が、相互連携や調和を尊重していく真のチーム医療の展開、真の患者サービスの向上となると期する。
受賞理由
学校法人北里学園 北里大学病院(神奈川県)
感染性廃棄物の分別の徹底、点摘瓶や薬品容器の再利用による廃棄物の減量化、ディスポーザブル製品の制限などによる廃棄物の削減など環境への配慮を徹底している。また、現場の意見を取り入れた廃棄物入れやベッドや病棟の施設・備品などにオリジナルの仕様を取り入れ高品質の製品を使用することにより長期間使用が可能になるなどのほか、一般的には使い捨てにされる手術衣類やリネン類を熱消毒により繰り返し使用するなど、独自の工夫により環境負荷低減とコスト削減を両立している。
また財団法人日本医療機能評価機構の病院機能評価の認定を受け、病院としての医療の質の向上に努めている。
環境経営の取り組み
医療の分野でも、医療技術の進歩により、様々な医療用具・医療器具が開発・使用され、その他の多くの使い捨て用品などと共に廃棄されている。しかし、廃棄物の適正処理は極めて困難な事態となっている。これらの課題に取り組むために、廃棄物処理の適正処理と安全性・信頼性の向上および廃棄物の減量化とリサイクルの推進という2つの柱を機軸とする総合対策の推進が必要とされる。そのためには、発生した廃棄物の重点管理だけでなく、物の使い方や規格や仕様の在り方、衛生・委託基準、合理的な衛生管理、情報交換と連携など多面的な対応が必要となる。廃棄物の処理は、それぞれの廃棄物の特性に合わせかつ多面的な評価が必要である。処理方法別に、種類別に、それらの費用対効果の分析、比較を行ったうえで、適正処理コストを負担していく必要がある。また分別した廃棄物が保管、搬送、処理方法に効果的に結びつく、分別した廃棄物が製造業者や再生業者等による利用と効果的に結びつく、そのような総合的な対応とコストパフォーマンスの追求をしていく必要がある。その処理方法は一定の分類基準に従う範囲で、まとめた形で処理施設等の整備が行われる。しかし、リサイクル、減量化については、当該対象品の個別の取組みが大切である。つまり、廃棄物というまとめ方ではなく、一つひとつの製品、材料の吟味が大切である。廃棄物の抑制化・減量化を効果的に進めるために、製品の開発から再生利用、廃棄物処分に至る各段階において、排出抑制、再生利用を促す仕組みを整備し、再生品の使用を促進していく必要がある。視野を広くして関連企業等との連携、信頼の確保等は不可欠なものとした取組みが必要である。
そのような考えで取組んでいる、北里大学病院のいくつかの事例を以下にあげる。
- 院内感染管理を基軸にして環境整備を行っている。院内感染管理は、1973年から、個別の専門分野の枠を超えた全員参加型のシステムとした合理的な自主管理体制を敷いている。時代の変化に即応するべく改訂を繰り返し、現在まで継続している。使い捨て製品や既製品での対応については、エビデンスに基づく、現場に根ざした総合的な対策(感染防止・安全衛生・環境保全)を重視し選定している。そのため、他の模倣ではなく自施設に最も適するように創意工夫を重ねており、組織的かつ総合的な対応を独自に展開している。その結果、施設の有効利用と安全化が図られている。また、洗浄と滅菌消毒といった再使用のための品質管理を行い、使い捨て製品や消毒薬を抑制し、費用を制御している。さらに職員等の感染事故防止、廃棄物の減量化および費用対効果をあげている。
- 療養環境整備のリユースシステムを構築している。病院内でのいわば循環型業務を実践している。リネンセンターでは、手術衣などの衣類や寝具類、各種リネン類やオシボリタオル、オムツなどすべての繊維製品の供給を行い、洗濯や消毒、整備を総括して行っている。ベッドセンターでは、すべてのベッド・マットレス等の整備、供給を行っている。そのため、いわゆる良い製品を長く使用するための規格や仕様、衛生基準といったノウハウを活かし、委託業務を適切に管理し、品質の向上と費用対効果、患者サービスの向上、廃棄物の減量化と成果を得ている。実績データの分析、比較を行い、一部には製品の開発、改良を行っている。
- 良質な医療の提供とともに医療活動において生ずる危険なものは、科学的に体系的に管理の徹底を図り、廃棄物が健康問題や環境保全上の問題を生じないようにしていく必要がある。そのために1989年から廃棄物管理体制を敷き、廃棄物管理基準に基づき、すべて一元的に管理している。廃棄物の抑制、減量化については、院内感染対策、安全衛生、医療材料導入など他のシステムとの連携を図って効果を挙げるようにしている。感染性廃棄物の分別には、針メスの分別に、看護部の提案による空き缶を再利用しており市販品より良いと好評である。また、独自のセット車を開発するなど工夫して安全を確保している。また、それらの保管や積載・搬送には、冷蔵コンテナと保冷車への自動積載を行い、作業性、安全性を高めている。
- 医療施設における環境の美化、清潔保持、安全衛生、院内感染防止、廃棄物対策等の重要性はいうまでもない。医療機能の向上と患者サービスの向上を高めるために、病院環境を整備するには、専門分野の枠を超えた病院全体としての合理的な仕組みを作り、効率的に運用していくことが大切である。そのため北里大学病院では、1986年に事務部環境整備課を組織化して総合的な環境管理活動を行っている。環境管理は担当部門だけでなく、その関連設備や各部署職員等それぞれの働きが成果を生み出すように、有機的に連携することを大切にしている。
